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2017-11-01

樹と水の国

但馬高原植物園の和池の大カツラに魅かれたことから始まった大カツラ巡り。春に続いて秋もお誘いいただきました。

台風続きで進路を気にかけながらも「携帯長靴持参してね。くま鈴は用意するからね。」と、言われるまま何も考えずに30日に宿泊先の城崎温泉に迎えに来て下さった車に乗り込みました。

まずは神鍋渓谷公園のカツラと滝巡り。

「一ツ滝」
台風の影響で増水し滝を流れ落ちる水量は多く、聞こえない私にも滝の音が聞こえるように感じるほどの勢いです。

滝の左の岸にあるのが「七品のかつら」


遊歩道を上流に向かう途中の一ツ滝のダム湖は、湖のなかに針葉樹が林立している静かな佇まいで、ここだけ切り取られたような風景でした。


遊歩道は台風の影響でがけ崩れもあり、落石に落ち葉や折れ枝、ぬかるんだ道は水たまりだらけで携帯長靴が大活躍でした。


増した水嵩が川の流れに勢いをつけ、普段は無い所に小さな滝をいくつも生み出しています。


折れ枝を杖にしてたどり着いた「二ツ滝」


少し下流の沢が分かれている所、カツラの向うに小さな滝とで「二ツ滝」です。


これより上流は通行困難なようで「万劫の大カツラ」は行けませんでした。

ランチ後は「猿尾滝」
「仏様が見えなければ滝に打たれてください」と言われ、どうしよう…と思っていたのですが…


滝の全景を目にしたら、もう「わぁー」「わぁーー」と感嘆詞しか出てこない。


落ち着いて見ると滝の中ほどに見える石仏は自然石が並んだ姿の様です。中央の不動尊に見える石がひときわ目を引いたのですが、帰りに見ると「猿尾の滝不動尊」と木札がありました。自然の造形ってなんとも凄い。

次は養父市に向かい、すすき野原の美しい景色を越えて見えたのが


「轟の大カツラ」


この大カツラは幹囲は8.6mで樹高が30mと、背が高くスマートな姿です。


でも樹をぐるっと回れば力強さや伸びやかさもあり、表情豊かに楽しませてくれます。


横を流れる湧き水に満足そうなお顔が、昔見たファンタジーの森の木の精を思い出させました。

最後は糸井渓谷にある「糸井の大カツラ」
糸井渓谷の細い登山道をいくつかの滝を過ごして自動車で行きます。小さな駐車場の前にそびえ立つのが「糸井の大カツラ」。


推定樹齢は2,000年と言われ 国の天然記念物。 樹高35m、枝張り東西30m・南北31m、大小約80本のひこばえが主幹を保護する形で林立しています。


主幹の内部は無く中央部がぽっかり空いて、周囲をきれいにひこばえが取り囲んでいるんです。


カツラはひこばえがいろんな形に伸びて大カツラを形作っていくようだけど、こんなに美しく真直ぐに並んで伸びたカツラは始めてみました。幹に枝ぶりに根の張り様に大きな意志を感じます。


根の張っている姿も整えたように美しい。


カツラは古代から日本の自然だけではなく、文化にも大きな役割をはたしていたようです。糸井渓谷の主として2000年以上この地を見つめていた大カツラは何を思っているんだろうと。

カツラは水を好むため水脈に添って生え、その根元には湧水が見られることも多いそうです。

気圧の変化でだろうと思うのですが体調を崩した経由もあり、感じたことが沢山ありましたが大事なことはシンプルで当たり前のこと。

エコとかどうとかの言葉以前に、水と樹が脈々と生き続ける地に、私たち人間は住まわせてもらっているんだと言うことを、理屈じゃなく身体で感じた一日でした。

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